子どもの発達障害を受け入れるまで|保護者の心理変化と向き合い方
「もしかして、うちの子は発達に特性があるのかもしれない」
そう感じたとき、保護者の方は大きな不安や戸惑いを抱えることがあります。発達障害や発達特性について知識として理解していても、いざ自分の子どものこととなると、すぐに受け止めることは簡単ではありません。
子どもの発達について悩む中で、「自分の育て方が悪かったのではないか」「これからどうしたらいいのだろう」と考え込んでしまうこともあります。しかし、そのように感じることは決して特別なことではありません。
この記事では、子どもの発達障害や発達特性を受け入れるまでに保護者が感じやすい心理の変化と、親子で少しずつ前に進むために大切にしたい考え方についてお伝えします。
子どもの発達障害をすぐに受け入れられなくても自然なこと
子どもの発達について指摘を受けたり、診断名を聞いたりしたとき、多くの保護者の方は強いショックを受けます。
「まさかうちの子が」「少し成長がゆっくりなだけではないか」「もう少し様子を見れば変わるのではないか」と考えたくなることもあるでしょう。
特に、まだ診断を受けていない段階では、子どもの得意なことやできていることに目を向け、「障害ではない」と思いたくなることもあります。それは、子どもを大切に思っているからこそ起こる気持ちでもあります。
大切なのは、無理にすぐ受け入れようとすることではありません。保護者自身の気持ちを否定せず、少しずつ子どもの困りごとや特性を理解していくことが、これからの支援につながります。
発達障害がわかることで安心につながる場合もある
発達障害や発達特性があるとわかったとき、最初は不安やショックを感じることが多いです。
一方で、それまで子育ての中で感じていた違和感や困りごとの理由が見えてくることで、少し安心につながる場合もあります。
たとえば、周囲から「しつけの問題ではないか」「甘やかしているのではないか」と言われ、つらい思いをしてきた保護者の方にとっては、「子どもが困っていた理由がわかった」「これからどう関わればよいか考えやすくなった」と感じられることもあります。
診断名や特性の理解は、子どもを決めつけるためのものではありません。子どもに合った関わり方や環境を考えるための手がかりになります。
保護者が感じやすい心理の変化
子どもの発達障害や発達特性を知ったとき、保護者の気持ちは一定ではありません。落ち着いて考えられる日もあれば、急に不安が大きくなる日もあります。
ここでは、保護者が感じやすい心理の変化を3つに分けてご紹介します。
1. イライラしやすくなる時期
子どもの発達について悩み始めたころは、周囲の何気ない言葉や態度に敏感になることがあります。
たとえば、他の親子が楽しそうに過ごしている様子を見て、「どうしてうちだけこんなに大変なのだろう」と感じたり、悪気のない言葉にも傷ついたりすることがあります。
この時期は、怒りや不安の気持ちが外側に向きやすくなります。家族、園や学校、周囲の保護者、医療機関や相談機関に対して、強い不満や戸惑いを感じることもあります。
しかし、それは保護者が冷たい人だからではありません。大切な子どもの将来を心配しているからこそ、気持ちが大きく揺れている状態です。
2. 自分を責めて落ち込みやすくなる時期
イライラした気持ちが続いたあとに、「自分の関わり方が悪かったのではないか」「もっと早く気づいてあげればよかった」と、自分を責めてしまう時期が来ることがあります。
子どもの行動や困りごとを見て、これまでの育て方を何度も振り返り、苦しくなってしまうこともあります。
また、「周りにはわかってもらえない」「相談しても理解されない」と感じ、孤独感が強くなる場合もあります。
この時期に大切なのは、保護者だけで抱え込まないことです。発達の特性は、保護者の努力不足や愛情不足で起こるものではありません。信頼できる人や専門機関に話すことで、少しずつ気持ちが整理されることがあります。
3. 何も考えられなくなる時期
大きな不安や自責の気持ちが続くと、何をするにも気力が出なくなることがあります。
「考えなければいけないことはたくさんあるのに、頭が働かない」「何から始めたらよいかわからない」と感じることもあります。
これは、心が疲れているサインでもあります。無理に前向きになろうとせず、まずは休むことや、安心して話せる相手に気持ちを伝えることも大切です。
保護者が少しでも安心できる時間を持つことは、子どもの支援を考えるうえでも大切な土台になります。
受け入れることは、あきらめることではありません
子どもの発達障害や発達特性を受け入れるというと、「子どもの可能性をあきらめること」のように感じてしまう方もいるかもしれません。
しかし、受け入れることは、あきらめることではありません。
子どもの苦手さや困りごとを知り、その子に合った方法を一緒に探していくことです。
たとえば、言葉で説明されるだけでは理解しにくい子には、絵カードや予定表を使う。気持ちの切り替えが苦手な子には、事前に見通しを伝える。学習に苦手さがある子には、少しずつ成功体験を積み重ねる。
このように、子どもに合った支援や関わり方を考えることで、子どもが安心して過ごしやすくなり、できることが少しずつ増えていきます。
節目ごとに不安が戻ることもあります
一度気持ちが落ち着いたとしても、入園、就学、進級、進学、環境の変化などの節目で、また不安が大きくなることがあります。
「新しい環境でうまく過ごせるだろうか」「友達関係は大丈夫だろうか」「学習についていけるだろうか」と、心配が増えるのは自然なことです。
そのたびに悩むことは、決して後戻りではありません。子どもの成長に合わせて、保護者も一緒に考え直しているということです。
大切なのは、その時々の困りごとに合わせて、必要な支援や関わり方を見直していくことです。
保護者自身の気持ちも大切にしましょう
子どもの支援を考えるとき、どうしても子どものことが最優先になります。
もちろん、子どもに合った関わりや環境調整はとても大切です。しかし同時に、保護者自身の気持ちを大切にすることも必要です。
不安、悲しさ、怒り、焦り、疲れ。どの気持ちも、子どもを大切に思っているからこそ生まれるものです。
「こんなふうに思ってはいけない」と自分を責めるのではなく、「今は不安が大きい時期なんだ」と受け止めることも、前に進むための大切な一歩です。
まとめ
子どもの発達障害や発達特性を受け入れるまでには、保護者の中にさまざまな気持ちが生まれます。
ショックを受けたり、イライラしたり、自分を責めたり、何も考えられなくなったりすることもあります。それは、子どもを大切に思っているからこその自然な反応です。
受け入れることは、子どもの可能性をあきらめることではありません。子どもの特性を理解し、その子に合った支援や関わり方を考えていくことです。
一人で悩み続けるのではなく、家族、園や学校、相談機関、療育機関などとつながりながら、親子に合った歩み方を少しずつ見つけていきましょう。


